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都風俗化粧伝
中/髪
髪お洗ふ伝
髪おあらふことは、髪のつやお出し、かみの脂ねばりお去らんがためなれば、度々洗てよし、夏の日は汗と油の腐たるにて、甚だあしき臭ひすれば、嗜てことに度々洗ひ惡臭ひお去るべきことなり、仕様は、
ふのり 海蘿 うどんのこ 温飩粉
ふのりおさきてあつき湯につけ置、箸にてまはせば能解るなり、其中へうどんの粉お入れ掻交、熱きうちに髪へ能々すり付、又手にすくひためて髪お能々もめば、髪につきたる油こと〴〵く取る也、其後あつき湯にて髪お洗ば、能とけさばけるなり、其次に髪お水にて洗ひて後よく干(ほし)、髪お結へば、色およくし光沢お出し、あしきにほひお去る也、
又むくの木の皮
細くきざみ煎じて髪お洗ふべし、髪の色お黒ふし、光沢お出す奇妙の方也、