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嬉遊笑覧
三/書書
今しやぼんとて、無患(むく)子、芋がら、烟草茎などお焼たる粉お水に漬し、竹の細き管に其汁お羆て吹ば、玉飛て日に映じ、五色に光りてみゆ、真のしやぼん(○○○○)は、本草土部に石鹸といふもの也、こゝにも蛮舶将来る灰色の煉ものなり、蘭人はせつぷといひ、羅田語にさぼーねといふ、援にてしやぽんといふなり、衣服の油お洗ふに無患子皮と白小豆お粉にして、澡豆(あらひこ)に用ふる故に、白小豆おしやぼん豆とも呼ぶ、覇王樹も、截たる小口にて、畳などの油つきたるお摩ておとす故、さぼてんと呼たるは、ます〳〵転じたり、