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近世奇跡考

高尾所置鬢水入図
表臘色紅葉金蒔絵
紋かな具、内朱、ふち金いつかけ、
口長さしわたし、三寸四分、横二寸二分、
裏にかくの
如き紋あり
此器は今より三十とせばかりさき、吉原の駿河屋魚躍といふ者、方円庵得器におくりあたへしお、ちかごろ某君にたてまつりしとなん、某君予〈○京伝〉がふるきお好める事おきかせ玉ひ、めして古書画古器等お見せしめ玉ふついで、此器おも見せ玉ふ、かゝる小器さへ、後の世に伝へて、人のめつるは、まことに高尾がほまれといふべし、