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今昔物語
二十
清滝河奥聖人成慢悔語第卅九
今昔、清滝河の奥に菴お造て、年来行僧有けり、水瓶に水お入れむと思ふ時は、水瓶お令飛て此の河水お汲せて年お経れば、此許行(かばかりの)人は不有自(あらじかしと)ら時々思ける時も有けり、然る慢の心有るは悪き事とも智り無きが故に不知、而る間時々其の菴の水上より、水瓶飛び来て水お汲む、〈○下略〉
○按ずるに、此の水瓶は即ち軍持なり、故に聊か此に載せたり、