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礼容筆粋

主貴人之御手水お掛候事、貴人之御手水おかけ候事、右の手にてひしやく(○○○○)のえの中程お持、左にて柄の末お持、たとへば御酌おとり候ごとくかまへて、少も水おかけきる事なく、さら〳〵とかけ可申也、左右順逆は其場の勝手次第なるべし、順とは貴人お我かたに見、左手にてひしやくのさきお取、逆とは主貴人お右の方に見奉りて、左手にてひしやくお深く取、右にてひ、しやくのえの末お取おいふ也、御ひぢの方へ深くかくれば御小袖に水かゝる事あるべし、猶心得べき也、〈○下略〉