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嬉遊笑覧
二中/挙飾
牙杖の原、竹おも用ひたう、然るに菅家神詠とて、みる石の面に物は書ざりき竹のやうじもつかはざりけり、と雲る歌お伝へたるは、何ものゝさかしらなりけん、抑意義なき事ながら、そのかみさる俗習ありしにこそ、
○按ずるに、本文の竹の楊枝の歌は、類聚叢林和歌集巻四十二に菅家御詠として之お挙げたり、以て其古くより世に行はれたるものなるお見るべし、