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男色大鑑

袖も通さぬ形見の衣
猿に袴お着て看板出し、夷橋筋に根本浮世楊枝とて、芝居若衆の定紋おうちつけ置しに、それぞれのおもはく其手に枕のかたらひ、及びがたき人、せめてば心睛しに、此絞やうじ(○○○○)お手にふれて、口中琢ける時は、恋の君が美舌おくはふる心ちのして、哀や気おなやましぬ、