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仁勢物語

おかし大けいせいやありけり、〈○中略〉かく片時もはなれず、有わたるに、いたづらものになりぬべければ、終に知音はなるべしとて、このおとこ、いかにせん、吾かのさまよせたまへと、仏神にも申けれど、いやまさりてよせざりつゝ、なおわりなく、いとすげなうあひしらひければ、御楊枝かるたなどつゝみ、かきつけて、もはやかはじといふせいもんおたてゝなむあひける、