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男色大鑑

此道にいろはにほへと
やう〳〵西日になつて、樽は口せず転(こか)し、水風呂の湯もすて、久三もとりまはし賢く仕舞へば、女は噪しく木綿足袋おぬぎて袂に入、銀の笄お楊枝にさしかへ、櫛も鼻紙袋におさめ、紅の脚布お内懐にまくりあげ、上着の衣裏おかなしみ、首筋おとりのけ、木枝に掛置し木地笠おとり〴〵に、いそぐや暮の面影、