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燕石雑志

俗呪方
養歯方 黒き蛤(はまぐり)の肉お去、その一隻の貝へは塩おつめ、亦一隻へは飯おつめ、合して火中に投じ、焼果て後掻出して搗砕き、毎朝これお以て歯お磨けば、よく口熱お去て、老後に歯の脱ること希也、もし蛤の黒きお得ざるときは、青竹の節おとめて、五六寸に截とり、筒の中へ塩おつめ、筒ともに焼て搗砕きたるもよし、亦翠実(まつのみどり)おとりて、ごれお塩に和て、霜(くろやき)とするお松葉塩(まつはしほ)といふ、しかれども蛤の功、竹と松とに勝れり、