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嬉遊笑覧
二中/服飾
みがき砂 すべて香具屋にて売しなるべし、江戸鹿子に、歯薬並はぬき、〈竹川町〉入歯師安藤安志、〈日本橋通三丁目〉小野玄入、〈源助町兼康祐玄〉とあり、これらの家にても売たる歟、〈○中略〉漢土には是お白歯薬と雲、博聞類纂〈十一〉磁器お洗ふ法に、用白歯薬擦則光沢とあり、風来山人が歯みがきの報帖(ひきふだ)は、おかしく書るひきふだの始なり、〈下手談義にもおかしき引札あれども、これはそらごとお作りたる也、〉
江戸には、常に房州砂お水飛して、竜脳、丁子など加へて、諸州にも白砂又白石等お粉となし、又は米糠お焼て用るもあれど、房州砂には及ばず、故にみがき砂は、江戸にまさるものなし、