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宝蔵


湯之盤銘曰、苟日新、日日新、又日新といへるは、其身の垢お去るごとく、心の中のけがれおも、日々に革めよとの教戒とかや、など男傾城とかやいへるものゝやうに、色しうからしめて、衣紋おたしなまんや、さりとてま花身は神明の舎る所なれば、こけ丸大臣のやうに穢にふれ、あかづける事おせんや、其わかちたゞ礼儀によつて身おきよむると、好色にひかれて容づくれるとに侍るのみ、猶我ばかり物おもふ人はまたもあらじとよめる情は、すてがたき物にして、
月の顔あらふたらひか空の海
鶏鳴告旦出幽房 手洗口濺少妨徨 想像奠星宮女恨 恋風粛颯水洋々