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傍廂
前篇
単物 帷子
当世は絹木綿など裏なきお単物といひ、生絹麻などの類お帷子といひて、着る時節も差別あり、さるべきことにあらず、すべて裏なき衣は皆単物なり、ひとへなるが故に片といひ、風にひらめく故にひらといへるにて、同じも、のなり、浴衣おゆかたといへるも、湯帷子の義なり、頂上の領巾(ひれ)も、甲胃の母衣も、軍器の旗も、魚の鰭も鬣(ひれ)も、びらの転語にて、同義の名なり、ひらめくはためくなど同言なり、