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栄花物語
二十九/玉の飾
かゝるほどに九月〈○万寿四年〉十余日になりぬ、〈○中略〉その夜御前〈○妍子〉に人々さぶらふお、ともすればおこたらせ給て、ものなどおほせられなどせさせ給と思ふに、十四日のつとめていかでゆすこしあみんとおほせらるれば、〈○中略〉いそぎたちて参らせたれば、いざりおりさせ給て、日比の御まし御ぞ皆とりやらせ給て、あさやかなる御ぞおましなどにふさせ給て、殿〈○藤原道長〉おはせとあれば、かくと人まいりて申せば、ゆにまかりおりたり、たゞいままいると申させ給へるに、かぎりとみたるにぞいそぎのぼらせ給て、御ゆかたびら(○○○○○○)ながらおはしましたるに、〈○下略〉