[p.0625][p.0626]
北里十二時
巳時
かたみにゆぶねの口にかゞまりいて、あかかきながしつゝいへることよ、〈○中略〉まろがもとなるは、鼻ひらめにひたひはれて、わきくそさへ花やかなる老人なりき、されど老らかにもてなし、あへしらひてかへしゝは、人がらのにぎはしくたのもしげなればぞかしといひて、たかやかにわらひて、ゆかたびら(○○○○○)ないがしろにうちかけて、つゝむべき所もおほひだにせず、立ちはしりつゝいぬる、いとばうぞくなり、