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平家物語

紅葉の事
あんげんの比ほひ、御かたたがひの行幸の有しに、〈○中略〉やゝしんかうにおよんで、程とおく人のさけぶこえしけり、ぐぶの人々はきゝも付られず、主上〈○高倉〉はきこしめして、たゞ今さけぶは何ものぞ、あれ見てまいれとおほせければ、うへぶししたる殿上人、上日の者におほせてたづぬれば、あるつじにあやしの女のわらはの、なかもち(○○○○)のふたさげたるが、なくにてぞ有ける、
○按ずるに、なかもちは中持なるか、長持なるか詳ならず、暫らく此に載す、