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倭訓栞
前編二十六/不
ふくろ 囊おいふ、日本紀に、囊中玄櫛あり、和名抄に、袋亦作袋と見ゆ、囊は底なきもの也、袋は底あるおいふ、物お入ればふくるゝより名とすといへり、新撰字鏡に、袋おこしふくろとよめり、こしは腰なるべし、顕宗紀、人の名韓袋倭袋と見えたれば、古へ其製のことなる称と見えたり、元正紀に、朝服之袋といひ、文武紀に、賜諸王卿等袋様といへるは、とのい袋にや、土佐の俗小袋お上指といへるは、矢ぼろより出たる名也といへり、雅亮抄に、ひらづゝみのうはざしといひ、盛衰記に、うはざししたるふくろもたせてと見えたり、