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今物語
宇治の左のおとゞ〈○藤原頼長〉の御前に、銀おきり火桶(○○○○)につませられて、頼政卿のいまだわかかりける時、召ありてきり火おけと、我名おかくし題にて、歌つかふまつりて、是お給はれと仰事有ければ、とりもあへず、
宇治川の瀬々の白浪落たぎりひおけさいかによりまさるらん、とよみたりけり、めでさせ給ひけるとなん、