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芙蓉文集

火桶 園女露は秋、しぐれは冬と見さだめてや、こそ〳〵と反古とり出て、火桶ひとつおはりまはす、是は何の翁ぞ、俊成頼政おならふにもあらず、隻このひとりにて、我冬お過さんとなり、春より後はといはゞ、あらはるまじ、われなばもとの土にこそと、もしとはゞかくこたふべき、
膝もとの折敷の糊に一葉かな