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臨時客応接
秋は九月節句頃より、春は三月末の頃迄、寒暖に随ひ、見計ひ火鉢お出すべし、
火鉢は灰およく掻平し、真中へ火お置、其廻へ桜炭お装(つぎ)、若桜炭なくば、雑炭にても体よく装(つぎ)、
但炭から炭へ橋お掛たる様に載たり、井桁毬打鐘木の形に、装ぬ事と心得べし、
手早く団扇にて扇付、灰ならしにて炭の根へ、少し計灰お掻よせ、火鉢の縁台等お拭持出、火鉢の大小に随ひ、左の膝の六七寸前へ出すべし、〈なおくでんあり〉
但耳歟取手抔の付たる火鉢は、耳にても取手にても、左右にして出し、三足の類は弐本の足お客人の方へ向、壱本お手前にして出すべし、三本足の付たる物は、外の品も是に准ず、