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大館常興日記
天文十年二月廿五日、為御使祐阿来入、御火ばちもたせ被下候て、もと〳〵の御火ばちの趣いかゞ候ける哉、此御火ばち〈足不付候也〉何と哉覧、見にくきやうに被思食候、くわしくしるし可申上候由仰也雲々、仍もと〳〵のは例式ごとく三足〈鬼のかたち也〉にて御ざ候よし申上之、いつも御前におかれ候は、隻今拝見のよりは、今少ちいさめに御ざ候と存候、大がいはこれほどにて御ざ候、足三御ざ候、台はから筵へりしゆすどんすのたぐいと存候、又御対面所におかれ候は、これよりは今少大きめに御ざ候と存候、だいは御ざ候はず候つる、又大名所におかれ候も同前、台は御ざ候つる、何も〳〵御火ばしそへおかれ候也、此趣申入也、 廿六日、為御使祐阿来入、御火ばちの絵図二拝見させられ候へば、禁中に御ざ候一つは台の御火ばち也、もと〳〵御前におかれ候哉、いかゞ御ざ候ける哉、〈○中略〉被尋下之、仍御返事言上、禁裏様に御ざ候は、不及見申之間、不及言上候、台の御火ばちは、もつばら常御所御女中むきに御ざ候つる、