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八水随筆
諸江仁右衛門〈後仁斎と雲〉性理家の儒生也、本間半五郎殿の御方へ講釈にゆきしが、冬の事なれば、若き侍から金の火鉢お持出、仁右衛門が前に置、少しざりて手おつき、此火鉢お世上にし(○)かみ火鉢(○○○○)と申候、しかみとは、いかゞしたゝめ候やと問ければ、仁右衛門答ふべき詞なくて、いまだ考不申、追て可得御意と雲しよし、