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三省錄
後編附錄下
予〈○原得斎〉三四年已前に、土おもつて焼製したる火鉢お買たりしが、これお箱お指て、この火鉢おいれおきければ、今に毀れずして用ゆ、そのころまた隣家なるものも、予と共にかの火鉢お買たりしが、たゞありのまゝにて用ければ、二三け月お経て所々かけ、其上ものにふれて毀れたり、そのゝちに三つ四つ買しが、前のごとく久しからずして砕てけり、予がはじめ箱おこしらへたる物入りは、すこしく多けれども、そのたもつこと久しく、かの三つ四つの価に比すれば、はるかにすくなし、其上今に存す、これ倹ならん、