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宝蔵

炭取瓢単
許由に棄られて後、岸根の波にうきにうけども、たゞ名にながれたる計にて、顔淵はえて其楽おあらためず、それよりこのかた、こまの出しめづらしさも打たえて、花の名のみ人めきて、あやしきかきねにおひしげり、なりさがりてぞ侍める、〈○中略〉中比利休居士の取たてにより、数奇屋のうちにもめし出され、貴人の御めにもかゝりなど、器の時おえて、鯰おさえししれものゝ、手にはよりもつかずと聞及べり、
えだ炭はむべも火花のつぼみ哉 棹柳楫栄(はなぶさ)期客寓 置成立炭香烟霧 釣舟雖不失中流 媚一狐千貫道具