[p.0725]
北辺随筆

さいはらひ
今俗さいはらひといひて、絹紙などおさきて、小竹にゆひつけ、塵おはらふ具とす、この名、神楽歌にみゆ、奈可止美乃古須水乎(なかとみのこすけお)、佐紀波良比(さきはらひ)、伊能利志古登波(いのりしことは)雲々、これよりいふ名なり、中臣のまおす大祓の祝詞の中に、天津菅曾〈乎〉、本苅断末苅切〈氐〉、八針〈爾〉取辟〈氐〉雲々とありて、菅おさきて、祓の具とせられしものなるおまねびて、塵おはらふ具とはなしけるなるべし、