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古今要覧稿
器財
とばり〈幔〉
とばりは、即ち幔にして、幔は、延喜式に四幅三幅とあれば、幕よりは幅甚せまきものにて、長さお六尺、或は四丈二尺としるしたり、延喜式に、幕の方お絁幕一宇、布幕一宇としるすも、野外に屋お設る義、幔の方お宇といはずして一条としるしたるお見れば、たゞ飾に用いたるものならん、されどもまんまくなどゝ、〈増鏡、平家物語長門本、〉幕の字お添ていひたるは、幕は凡て此類の総名なる故なるべし、扠これお張には、長き木お乳に通して張なり、故に貫柱といふこと〈延喜式〉見ゆ、其色臨時処分すと〈同上〉あるゆへ、定れる色なければ斑幔(○○)ともいふなり、はゞは古にも竪横の両様あるよし、三光院内府記に見えたり、