[p.0764]
枕草子
十一
御経のことにあすわたらせおはしまさんとて、こよひまいりたり、〈○中略〉おはしましつきたれば、大門のもとにこまもろこしのがくして、獅子こま犬おどりまひ、さうの音つゞみのこえに物もおぼえず、こはいづくの仏の御国などにきにけるにかあらんと、空にひゞきのぼるやうにおぼゆ、内に入ぬれば、いろ〳〵の錦のあげはり(○○○○○○)に、みすいとあおくてかけわたし、へいまんなどひきたるほど、なべてたゞに此世とおぼえず、