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類聚名物考
調度五
ひらばり 平張 帟幄
神村胤相雲、平張の事上に記す如く、大蔵式に鋪設の事は見え候へども、内匠式に平張の注文は桁などゝ雲物見えず、然ば平張といふは、鋪設の上の名にて、別に幄の外平張と雲物有にはあらざる様に候、江次第等お合考侍るに、幄と大同少異にて、幄は右に記す如く、柱に長短有、長きお中に立、短き柱お檐に立て、屋形おなし、幔お懸たる物と見え候、平張は幄の柱お用ひ設くれども、屋の形おなさず、同じ長さの柱ばかりお用いて、庵おなさず、今いはゆる天幕おはると雲が如くしたるおいふ類に候、節会雨儀に設けたる事、江次第の中往々所見候、儀注の書広相考候はゞ、証拠もたしかなる説も出来べく候歟、先愚按憶説の方申入候、取捨雲々、