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有職聞書
一徒然草に布のもかう、放免のつけもの秘事傅授のよし申候、如何様成ものにて御座候哉、
答〈○野々宮定基〉もかうとは、能、相撲などの舞台のうへに曳申候ものにて候、今の世俗に水曳と申候、帽額と書てひたひかくし(○○○○○○)と申候、金襴などにて仕たるお金帽額(○○○)と申候、白絹へ獅子などお書たるお獣形帽額(○○○○)と書て、じうぎやうのもかうと申候、此もかうお当世水引と申事も誤り(○○○○○○○○)にて候、上に張申候おもかうと申、下に張申候お水引と申候、
予〈○小宮山昌世〉先年京都にて御即位の時見申候、紫宸殿の正面にも、獣形の帽額お張候而見え申候、後に野々宮定基卿に承り候得ば、十二支お書候事本義のよし被仰候、