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安斎随筆
前編五
一水引 仏前に金〓などお、門字の形にかけるお水引と雲、建武元年八月廿七日東寺塔供養記に、地鋪水引等依無之、自他所被渡之、〈野水抄引之〉と見へたり、貞丈按、仏前の水引は、御厨子引(みづしひき)の略語なるべし、俗に仏龕お厨子といふ、厨子の前に引くゆへ御厨引と雲なるべし、或説に、仏前の水引には帽額の二字お用ゆべしと雲、按に、非なり、簾の帽額も、獣形帽額も、上に一文字に張て、其余り左右に垂れず、水引と異なり、