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雅亮装束抄

もやひさしのてうどたつる事
おなじきまのもやに御帳あり、きさきの宮などのには、はまゆかあり、たかさ二尺ばかり、よつにしてさしあはせておく、黒ぬり、かなものおうちたり、そのうへにさしみてたるうげん二帖お北南にしく、みなみおまくらとするなり、このたゝみおつちしきといふ、そのうへに四のすみ〴〵につちいおすえて、はしらおたてまはして、かもいおおきてのち、ぬりこのいかりさうじお、まごとにおほふ、たくみれうおかならずめすべし、御丁あたらしくは、よき日おもちてたつべし、ふるきはくるしからず、はしらはうしとらのすみよりたつるなり、そのゝちかたびらおかくべし、かたびらのてい、かべしろにおなじ、八帖がうち四帖は五の、四帖は四のあるなり、五のあるおすみにかくる人あれども、それはわろし、四のあるおすみ〴〵にかけて、五のあるお四方のくちにかくべし、つぎにもかうおひく、もかうは、かたびらのやうにて、おもてばかりあるお、ながさまにうらあはせに、なかおりにして、わなおしもにて、うしとらのすみよりはじめて、かみにひきまはすべし、ひだおすみのはしらのもとごとに、むかひさまにとるぎあり、又うへにおほひたる五のゝかたびらのはしにあてゝ、むかひざまにかたひだにとるぎあり、この定にとるには、すみのひだはあるまじ、又すみにとらば、このひだあるまじ、いづれにてもありなん、さてのちつねのき丁お三本とりよせて、この御帳のみなみひんがしにしのくちに、はまゆかのうへにたてゝ、そのき丁のいたゞきにたかさおあてゝ、三方のくちの五のゝかたびらおあぐべし、そのあぐるやうは、かべしろあぐるにおなじ、うちとのひもしてむすぶやう、かべしろにおなじ、よつのすみ〴〵のかたびらはたれたり、又うしろのなかの五のゝも、すみのやうにたれたるなり、この三方のき丁おも、ひきおろすべし、この木丁およせき丁とはいふなり、きさきならぬには、はまゆかなし、そのつちしきのうへにつちいのうちのりに、なかにうげん一帖なかすみにしく、みなみまくら、そのうへにからあやのおもて、にしきのへりさしまはして、わたいれたるが、うちうらつけたるおしきて、とぢつけたり、これおうはむしろといふなり、そのまくらの左右に八もじに、したんぢのてのこき丁おたつ、まくらき丁といふなり、かたびらふたへおりものなり、それにそへてぢんのまくらふたつおくべし、〈○中略〉御帳のまくらのなかのはしらの左右に、かみより一尺よおさげて、ひぢがねおうちて、みつのおふたつ、ひとつづゝお左右にかけたり、ぢんいろの木にてつくりて、しろかねのこお、くみまぜたり、ほそきさきのかだに、かなものおうちて、まろおおつけてふさあり、あげまきにむすびたるかしらお、ひぢがねにかくべし、御あとのなかのはしらの左右に、又ひぢがねおうちて、おほきなるかゞみお左右にかけたり、其ていきやうだいのかゞみなり、〈○中略〉
五せち所のこと
五せち所はびんぎの所によるべし、うちまかせては四けんもやひさしあるべきなり、そのうちにびんぎのもやひとつぼお、帳のまとしつらひて、四方にみすおかけて、そのうちにかべしろおひきまはしてあぐべし、もやぎはのみすもあげて、二けん三げんありとも、き丁おたてわたせ、この丁の三方には、五尺にても四尺にても、からえやまとえなりともたてまはして、そのうちに、うげん三帖おしく、はしまくらにしくべし、そのまへのひさしに、うげん二帖おしきて、そのうへにりうびんおしく、そのうへにしとねおしく、三尺のき丁おたつ、ひだりみぎ、びんぎによるべし、四尺の屏風おたてゝ、ものゝぐおく事つねのごとし、ひさしのてうどのていなり、