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源氏物語
四十六/椎本
こなたにかよふさうじのはしのかたに、かけがねしたる所に、あなのすこしあきたるお、みおきたまへりければ、とにたてたる屏風お引やりてみ給、こゝもとに木丁おそへたてたる、あな口おしと思ひて、ひきかへるおりしも、風のすだれおいたう吹あぐべかめれば、あらはにもこそあれ、その御木丁おし出てこそといふ人あなり、おこがましきものゝうれしうてみ給へば、たかきもみじかきも、木帳おふたまのすにおしよせて、このさうじにむかひて、あきたるさうじよりあなたにとおらんとなりけり、