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栄花物語
十六/本の雫
かくて枇杷殿〈○妍子〉には、四月に御わたりあり、〈○中略〉このたびはひめ宮の御かた〈○禎子〉しつらはせ給へり、あやにうす物かさねたる、むらさきのすそごの、御几帳ども、御帳のかたびらも同じやうにて、むらごのひもして、こんじやうでいなどして、えがきたり、御丁いとさゝやかにおかしげなり、何事もいとうつくし、