[p.0850][p.0851]
雅亮装束抄

もやひさしのてうどたつる事
まづしんでんのひさしに、みすおかけまはす、はれのかたおうはかへにす、次にもやのみすおかく、もやはしんでんによりて四けん、もしは五けんにてもあるなり、七けん四めんのしんでんならば、もや五けんにみすおかけて、うちにかべしろお引まはすべし、もやのみすおあげんことは、れいのき丁おもやにたてゝ、そのてのうへにつかせて、あぐることもあり、それ無下にさがりたらば、そのてのうへに、こぶしおにぎりあてゝ、ふたこぶしばかりすかしてあぐべし、みすのこのつきやうは常のごとし、〈○中略〉
おほかたみすおかくることは、もやはおほひみすつねの事なり、はれならむかた、うはかへにかくべし、ひさしもおほひみすならんところは、はれうはかへにしてかくべし、おほひみすといふは、はしらのうへに、ひとへりおひきちがへて、すんほうおとるなり、ながさはなげしのしたより、しものなげしのはなくぎのかくるゝ程にとるなり、あぐることは、もやは女房のことあらんには、さけてあぐべし、き丁のてのうへ、またすこしすかして、そのうへに、ふたこぶしおすかしてあぐといふ、行幸だいきやうなどのみさうぞくには、たかくあぐべし、もやもひさしもあぐるには、こはしといひて、いたおうすくけづりて、いれてまきたるがよきなり、おほかたみさうぞくのよきといふは、みすよくあげて、もかうよくひきしき、〈○下略〉