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倭訓栞
前編三十三/毛
もかう(○○○) 帽額と書り、延喜式、江次第に見ゆ、本は首服也、通典に、古之人帽而額〈す〉と見えたり、帽子と抹額とおいふなるべし、それお借て翠簾(みす)の縁に懸る物の名とせる也といへり、清少納言が、夏のもかうのあざやかなるといへる是也、類聚雑要に、面額とも書たる、今もつかふの紋といふも是なり、水引の事也、〈○中略〉西宮記に、撤尋常御簾、改簾以鈍色細布為端帽額、と見えたり、白楽天が詩に、錦額簾高捲と、錦お用いたる帽額なりといへり、