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貞丈雑記
十四/家作
一みすのもこうと雲は、簾の上の方に萌黄色の絹に、黒く 如此なる紋おいくらも染たるお、一幅横(ひとのよこ)にはりたるお雲、俗にもつこうきぬと雲也、もかうは帽額と書也、ひたいおおほふとよむ、出入る人のひたいの上におほふ故の名也、人の家の紋に、もつこうと雲紋も、帽額に染たる紋なれば、もつかうと雲也、又みすのもこう、禁裏将軍家には金らんお用らる、常の人の簾には、右に雲如くなるもかうお用ゆ、〈もかうは簾の外にあり、内にはなし、〉