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十訓抄

小野右大臣〈○藤原実資〉とて、世には賢人右府と申、〈○中略〉あたらしく家お造て移徙せられける夜、火鉢なる火のみすのへりに走りかゝりけるが、やがても消ざりけるお、しばし見給けるほどに、やう〳〵とゆづり付て、次第にもえあがるお、人あざみてよりけるお、制てけさゞりけり、