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水蛙眼目
或人物語雲、中院禅門と阿仏房といられたる所へ為氏まかりて、えんにてこはづくりて、あかり障子おあけていらんとせられけるお、阿仏房障子の尻おおさへて、あかり障子おかくし題にて一首あそばし候へ、あけ候はんと被申ければ、とりあへず、
いにしへのいぬきがかひしすゞめの子飛あがりしやうしとみるらん、とよまれければ、あけてわらひて入られけり、たはむれながらにてき心にてやありけん、源承法眼の説とてかたりき、