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壒囊抄

神輿なんどの水引に、手長足長と雲物あるは、実にある物歟、誠にさる物あるべき也、唐皇居昌は皆奇仙異人画(えがけり)、されば千字文にも、宮殿の構お雲に、仙霊のあやしき人お画彩とえがきいろどると侍べり、然れば吾朝の内裏にも、加様の人形あるなり、中にも手長足長お画けるおば、荒海(あらうみ/○○)障子(/○○)と雲也、其姿棘輿の水引書けるなるべし、喩へば長臂国者手長、長脚国者足ながし、両国並たれば、長脚人長臂人お肩に乗て海に入り、魚お取て両人分用る姿也、