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源平盛衰記

大納言音立事
新大納言成親卿おば、速に死罪に行ばやと、入道はおぼされけれ共、小松大臣〈○平重盛〉の様々被宥申ければ、偵が子ながらも恥かしき人にておはすれば、其教訓も難背して、死罪までの事はなけれ共、西光法師が白状に、安からず被思つヽ、大納言のおはする後の障子おあらヽかにあけて出給へり、