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類聚名物考
調度四
屏風裏形 べうぶうらがた
今も屏風の裏形には雀形とて、必しも多く是お用ゆる、是ふるき物にて、春日権現験記の画巻物のうちに、屏風のうらの方書るに、やはり今の雀形也、摸様は墨にて黒く書て、地色は黄赤色にて檜皮色の如し、薄き柿色なり、是等も鳥襷の類なるべし、今堂上方にて用ひらるゝ年賀の屏風も、裏は絹にて張て、朱にて雀形の如きものおおす也、蘇芳の方といへり、或人雲、屏風の裏の雀形は雀にはあらで、比翼の鳥なりといへり、相おもふことのふかく、つがひはなれぬといふ縁なるべしといへり、是も口かしこきいひざまなれども、物にも見えず、その本拠なし、依て信ずべからず、