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栄花物語
八/初花
東宮は枇杷殿におはします、しはす〈○完弘六年〉に成ぬれば、かんのとの〈○藤原妍子〉の御まいりなり、〈○中略〉その御ぐどもの屏風どもは、ためうぢ、つねのりなどがかきて、道風こそはしきしがたはかきたれ、いみじうめでたしかし、そのかみの物なれど、たゞいまのやうにちりばまず、あざやかにもちいさせ給へりしに、これはひろたかゞかきたる屏風どもに、侍従中納言〈○藤原行成〉の書給へるにこそはあめれ、