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倭訓栞
前編三十八/利
りようびん(○○○○○) 雅亮抄に、りうびんは色々にまだらなるむしろといへり、延喜式、江次第に竜鬢と見え、晋東宮旧事に、竜鬢席、〈○説郛所引東宮旧事作竜鬚席〉遊仙屈に、五綵竜鬢筵といへり、定家明月記には竜鬚とあり、竜鬚はほそい也、此竜鬚草おもて織成おいふ、竜須席、通鑑に見ゆ、竜鬚およづるは不祥の故事なれば、竜鬢と改めたるかといへり、一説に、竜鬚の音、両主に近きおもて避る也ともいへり、今綵席およびて竜鬢といひ、俗にはなござといふは、遺制なるべしともいへり、抄に俗又有九蝶筵依文名之と見ゆ、