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今昔物語
十九
六宮姫君夫出家語第五
今昔、六の宮と雲ふ所に住ける旧き宮原の子に、兵部の大輔と雲ふ人有けり、〈○中略〉連子の内に人の気はひ有り、和ら寄て〓けば、筵の極て穢けるお曳廻して、人二人居たり、一人は年老たる尼也、一人は若き女の極て痩せ枯て色青み影の様なる、賤しき様なる筵の破お敷て、其れに臥たり、中の衣の様なる布衣お著て、破たる筵お腰に曳懸て手枕して臥したり、