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徒然草

御室にいみじき児の有けるお、いかでさそひ出してあそばんと、たくむ法師どもありて、能あるあそび法師どもなどかたらひて、風流の破子やうのもの念比にいとなみ出て、箱風情の物にしたゝめいれて、ならびの岡の便よき所にうづみおきて、紅葉ちらしかけなど、思ひよらぬさまにして、御所へ参りて児おそゝのかし出にけり、うれしとおもひてこゝかしこあそびめぐりて、有つる苔のむしろになみいて、〈○下略〉