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倭訓栞
中編十三/多
たゝみ 神代紀に席薦およめり、たゝむお体にいふ詞なり、帖もよめり、藺筵おもよめり、延喜式に折薦帖あり、又大畳、小畳、長畳、短畳、重畳などいへり、八重畳へぐりの山など属ければ、古へのたゝみは、今雲薄縁の類なるべし、古事記に以菅畳八重、皮畳八重、絹畳八重、敷波上とも見えたり、縁は帝王院は繧〓縁也、親王大臣は大紋高麗縁也、公卿は小紋高麗縁也、四五位雲客は紫縁、六位侍黄縁也と海人藻芥に見えたり、今のたゝみは、中山伝信錄に、席(ござ)お以て草お包み、厚さ一寸ばかり、縁に青布以てぬうといふにて知ぬべし、いつの比よりか始りけん、西土にはなきもの也、東涯も中国古者席地而坐、後世施床椅而処、用磚鋪地といへり、