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北辺随筆

畳の縁
おなじ物語〈○堤中納言物語〉に、錦はし、かうらいはし、うげん、紫はしの畳、それはべらずは、布べりさしたらんやれ畳にてまれ貸し給へ、たまえに苅るまこもにまれ、あふ事かた野の原にある、すがごもにまれ、たゞあらんおかしたまへ雲々、この書きざまおみれば、布なるおのみ、へりといへるは、賤しき畳おば、へりとはいひけんとおぼゆれど、枕草紙に、うげんべりの畳ともみえたり、しかればそれにもかぎるべからねど、延喜式等みな端の字お用ひられたれば、へりといへるは後にて、ふるくははしといへるにこそ、式其外江次第、また雲図抄、類聚雑要など、いづれも端の字お用ひられたり、そが中に式の勘解由に、紺布端茵六枚雲々とあるは、いま民間にも用ふるに同じ、又園太暦廿三上、便宜所懸伊予簾、敷鈍色縁畳等雲々とみゆれど、この上文には畳端ともかゝせたまへり、