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源平盛衰記

信俊下向事
信俊不斜悦て、太納言〈○藤原成親〉のおはする所へ参て奉見に、浅ましく悲かりける事がら也、奇気なる小屋に、垣には土お壁に塗廻、戸には藁のこもお懸垂たり、内に差入て見廻せば、藁の束(○○○)と雲物お敷て、痩衰たる法師あり、よく〳〵見れば、大納言入道殿にてぞおはしける、