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駿河土産

駿府御城内に而、若き御番衆寄合、相撲取居候所江権現様被為成上意之事、
権現様、駿府に御座被遊候節、御城内にて若き御番衆寄合、座敷相撲お取居被申候処へ、不図被為成候に付、肝おつぶし平伏被致候処に権現様被仰候は、重而相撲お取候節は、畳お裏返して取たるがよきぞ、福阿弥が見候ば、畳の縁りが損じ候とて、腹おたつべきぞと有迄にて、御呵の上意とては無之候得共、諸番頭中、右之次第お聞被及、其後座敷相撲停止に被申渡候と也、