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瓦礫雑考

はま 浜なげ
中に穴ある丸きものお浜(はま)といふは、端おはといひ、間中(まなか)おまといふ歟、又は浜曲(はまわ)などいふことより、輪おはまといひしにや、〈○中略〉円座の中に穴お明たるおはまといふも、義はおなじかるべし、円座は禁中にて用ひらるゝも、もとは蒲にて組たりとぞ、これ即蒲団なり、後には錦綾にて包み作りたるもあり、 此円座、古画に多く見えたり、円座の中に穴おあけたるは、古様ならずといへるものもあれど、穴あきたるが古製なるべし、円座お和名抄に和良布太(わらふだ)と訓ぜるは、稲草(わら)にて造りたるゆえにや、蒲団といふも蒲にて造れば也、稲草蒲(わらがま)などにて曲(わ)にして造らば、中に穴あるべき筈なり、中に綿など入て錦綾にてつゝまば、穴は無き理なり、さるお錦綾にて製たるにも、ことさらに穴あくるは、本の形お存せるなるべし、〈○下略〉